和歌山県躰道協会
  • 躰道は原態の三つの構えと、空手とは違い運足と呼ばれる移動方法を用い、操体と呼ばれる五つの体の動かし方、操体時の注意点といえる動攻五戒、操体から蹴りや突きを出す基本技、が術技としての重要な事項である。
    *注:基本技はあくまで基本であり、創造進化・応用を求める躰道においてはさらに多くの技が存在する。

 

構え

躰道には上段・中段・下段の三種類の構えがある。

 

上段の構え

立ち方・竜捻立、体の状態・直身の体-添え手を上段から払い落とした位置で本手の前腕を垂直に立て、主に上段部への攻撃を払い受けた状態での構えであり、自分を中心に全方位に対応するための構えである。

 

中段の構え

立ち方・後屈立、体の状態・半身の体-躰道の最も中心的な構えで、本手を帆立上にし四指をそろえ正中線の前方へ立て、主に中段部への攻撃に備えた構えであり、実技展開・相対・運足時・原態に戻るときに用いる。剣豪宮本武蔵は「五輪書=水の巻 五方の構えの事」の中で、「此道の大事にいわく、構えのきわまりは中段と心得るべし。中段、構えの本意也。」とし、中段構えの大切さを説いている。

 

下段の構え

立ち方・え字立、体の状態・開身の体-本手を下段払いのように斜め下方に出して引き手は引き拳で主に下段部への攻撃に備えた状態の構えであり、通常は法形や実戦等の実技展開の開始時や終了時に用いる場合が多い。

 

運足(うんそく)

ここでいう運足とは躰道独自の移動方法である。三次元での動きを重視する躰道の中でも、殊に平面的移動(フットワーク)の方法として最も重視される。

運足は移動方法として八種類あり、それぞれ「送足・引足・加足・減足・交足・点足・追足・退足」と呼ばれる方法がある。これらを総じて「運足八法(うんそくはっぽう)」という。

運足は基本的にはこの八種類であるが、これらを応用し様々な角度に応用・創造したものが実戦的に利用されている。むしろ、そのように応用・創造していかなければ躰道の実技を用い相手を制することは難しい。運足八法のほかに、構えたままスッテプインして踏み込む「二の足」と呼ばれる技術は特に代表的な応用・創造的移動方法であろう。

 

操体(そうたい)

操体とは躰道の基本的五動作であり、それぞれ旋体・運体・変体・捻体・転体と呼ばれる。また、ここでは動攻五戒基本技もあわせて紹介する。

  • 動攻五戒とは各基本技を行う際の五つの戒めであり、
    1. 攻撃の状態
    2. 防御の要点
    3. 動作の形態
    4. 攻撃の方法
    5. 攻撃の目標
    となっている。尚、各操体の動攻五戒の意味は後述する。

 

旋体(旋技)

旋体(旋技)とは、前足または後ろ足を独楽の足のような中心軸とし、体軸(脊柱軸)を旋回させる事で、独楽状の旋回運動状態から行われる攻防一体の武技である。林の中を風が吹き抜けるようなイメージ。

  • 旋技の動攻五戒
    1. 旋体風林…林の中を風が疾風旋動して体を独楽状に早く旋回させながら技を施せという戒め
    2. 起発制肩…肩や胴を制される事がないように、すばやく旋回せよという戒め
    3. 楕円降下…同じ位置で回るのではなく、前進後退しながら降下するように身を低くして行えという戒め
    4. 三動一体…防ぎ手、差し込む二の足、回る腰の三つの動きが一体となるように行えという戒め
    5. 雁下即決…身体が回っていくので目標を真ん中に置くのではなく手前の雁下(脇腹)に置けという戒め
  • 基本技
    • 旋体直状突き、旋体斜状蹴り、旋体回状蹴り、旋体逆旋当て、旋体鉄肘当て、旋体膝頭当て
    • 旋体背面取り、旋体払い崩し

 

運体(運技)

運体(運技)とは、体軸が演武軸に対して平行であり、後ろ足を勢い良く前方に移動させる、飛び跳ねて攻撃する等、身体全体を勢い良く移動させる事で生まれる全身移動の力を加えた動きである。荒れ狂う浪が岩に打ち付けるイメージ。

  • 運技の動攻五戒
    1. 運体激浪…上下しながら打ち寄せる荒浪が、固い岩を打ち砕くように激しく技を施せという戒め
    2. 起発制足(膝)…前に出る蹴り足やその膝を制されないように高足・鈍足・浮足に注意し素早く行えという戒め
    3. 足甲踏跌…防ぎ足や蹴り足が着地する際にその足を用いて相手の甲を踏み砕くように行えという戒め
    4. 三節一体…突き手の手、防ぎ手の肘、前に出る足の膝の各関節を前胸部に集めて防御しながら行えという戒め
    5. 関元即決…体が高い状態から低い状態でまっすぐに移動するので、目標を下腹部の関元に置けという戒め
  • 基本技
    • 運体え字突き、運体正面蹴り、運体飛燕蹴り、運体伏状蹴り、運体臥状蹴り、運体踏み当て
    • 運体前面捕り、運体逆手捕り、運体逆足捕り、運体押し崩し

 

変体(変技)

変体(変技)とは、切られた木が倒れるように体軸を一定の角度を取りながら倒す事で相手の攻撃をよけながらも、その倒れる勢いを使い自らも攻撃することができる攻防一体の武技である。

  • 変技の動攻五戒
    1. 変体雲風…雲が風になびいてその影が変幻するように、身体を素早く倒し、変化させながら行えという戒め
    2. 起発制股(踵)…起発部位となる股間や軸足の踵を制されないように行えとの戒め
    3. 応変風靡…相手の動きに逆らわず身体が風に靡くように前後左右に倒しながら行えという戒め
    4. 三鼎共合…軸足と身体を倒した際に着く手の位置が正三角形になるように身体を安定させながら行えという戒め
    5. 気海即決…体を倒すため低い位置から斜め上方に向かって気海を目標に技を施せという戒め
  • 基本技
    • 変体海老蹴り、変体旋状蹴り、変体卍蹴り、変体水平蹴り、変体逆状蹴り、変体掛け崩し

捻体(捻技)

捻体(捻技)とは、体軸、上半身と下半身ねじる・ひねることによって生まれる力を利用した動きである。

  • 捻技の動攻五戒
    1. 捻体渦生…渦が何かを巻き込み、吸い込むように行えという戒め
    2. 起発制背(胸)…気発部位となる背や胸を制されないように素早く行えという戒め
    3. 股間触発…相手の身体が自分の股間に触れるように深く挟むと同時に素早く捻れという戒め
    4. 両腿挟圧…相手の身体を両方の太腿の内側で強く締め付けるように捻りながら行えという戒め
    5. 天地即決…相手の首や胴から技が外れても下にある脚を狙うように目標を上下において行えという戒め
  • 基本技
    • 捻体順(逆)足絡み、捻体順(逆)胴絡み、捻体順(逆)首絡み、捻体半月当て


 

転体(転技)

転体(転技)とは、体軸を前後左右上下へ回転させる運動によって生まれる勢いを利用した動きである。器械体操の床運動(前転・バック転・宙返り等)を利用した、躰道で最も他武道との違いを感じさせる動きである。

  • 転技の動攻五戒
    1. 転体雷動…雷が稲妻や雷鳴を放つように相手の的を打ち砕く勢いで行えという戒め
    2. 起発制腰(臀)…起発部位として回転する腰や臀部を制されないように素早く行えという戒め
    3. 急転雷火…相手の動きに逆らわず雷や稲妻のように自在にどこへでも動けるように回転して行えという戒め
    4. 三曲同折…首・腰・膝の三関節を同時に曲げて、滑らかに素早く回転しながら行えという戒め
    5. 間合即決…相手との間合いに応じて回転の距離や二の足の距離を調節しながら行えという戒め
  • 基本技
    • 転体(背)前転突き・蹴り、転体(背)後転蹴り、転体腕前(後)転(ハンドスプリング・バック転)突き、
    • 転体側転突き・蹴り、転体側宙突き・蹴り、転体宙前(後)転突き・蹴り、転体捻宙突き・蹴り